2011年1月アーカイブ

2010/11/30のブログで、Linuxのファイルシステムとしてext2/3とReiserFSを紹介しました。

ところで外付けハードディスクの一種に、NAS (Network Attached Storage) というものがあります。これは見かけや使い勝手などは外付けハードディスクに酷似していますが、実体はファイルサーバーに他なりません。したがってNASの内部にはOSが存在します。
NASのOSとしては圧倒的にLinuxが多く使われています。ごく一部にWindowsを使ったNASもあるのですが、Windowsの場合はライセンス料がかかりますので、無料で利用できるLinuxに比べて、どうしてもコスト高になってしまいます。それがLinuxが多く使われる理由です。
LinuxをOSに使ったNASの場合、ファイルシステムにもLinuxのファイルシステムが使われます。かってはext2がよく使われたのですが、最近のNASではext3やReiserFS、それにXFSが使われています。これらのファイルシステムは通常ではWindowsからは認識できないのですが、NASの場合はOS (Linux) が仲介をするため、これらのファイルシステムが使われているNASにWindowsからデータを読み書きできます。
ただし、NASが故障した場合、そのハードディスクを取り出してWindowsに繋いでも、そのままではWindowsからは認識することはできません。
ext2/3とReiserFSの場合は、Windows上からext2/3やReiserFSのファイルシステムを読み取るツールが存在しますので、これを使えば、ext2/3やReiserFS上のデータを救出することができます。もちろんファイルシステムに障害がないということが前提です。
ところがXFSファイルシステムの場合は、Windows上からXFSファイルシステムを読み取るツールが存在しませんので、XFSファイルシステム上のデータを救出することができません。この場合はLinux上から救出するしかありません。ちょっと厄介ですね。

XFSファイルシステムは、Silicon Graphics, Inc. が開発したファイルシステムで、同社のワークステーションからスーパーコンピュータまで広く使われています。このファイルシステムは特に高速で堅固であることが特徴です。東芝の液晶テレビのREGZAの録画用ハードディスクのファイルシステムとしても使われているということです (未確認)。

さて、基盤交換で一番難しいのは、どの基盤と交換したらよいかということです。
基本的には、同じメーカーの同じ型番のハードディスクから交換用基盤を取得します。しかし、これでは通用しない場合があります。
同じメーカーの同じ型番のハードディスクであっても、細かなリビジョン (ファームウェアバージョン) の違いがあり、それぞれに互換性がない場合があります。このようなハードディスクの場合は、同じメーカーの同じ型番のハードディスクというだけでなくリビジョンまで同じものを使用する必要があります。SeagateやWestern Digitalのハードディスク場合はこのような例が多くあります。
一方で、メーカーや機種によってはもっと幅広く互換性があり、同じメーカーの同じシリーズのハードディスクであれば型番 (容量) が違っていても基盤は共通という場合もあります。日立 (旧IBM) や旧Maxtor、富士通、旧Quantumなどではこのような例がいくつもあります。基盤をよく見比べて部品の配置等が同じであれば、容量等が違っても使える可能性があります。ただし、全部の機種がそうだというものではありません。

前回書いたように、ハードディスクの物理障害の中でも、基盤の障害が原因である場合があります。基盤を交換すれば必ず修理できるというものではありませんが、修理できる可能性が一定程度の確率であります。そこで、ここでは基盤を交換するためのノウハウをご紹介します。

多くのハードディスクでは基盤を本体に止めているネジに特殊なネジが使われています。このネジはトルクスネジと言われるもので、ネジ穴が六角形 (星形) をしています。このネジを普通のプラスドライバやマイナスドライバで外すことはほぼ無理です。このネジを外すためにはトルクスドライバを使用します。一部のハードディスクではプラスのネジが使われているものもありますので、その場合は簡単です。
トルクスドライバは一般の金物店やホームセンター等ではまず売っていません。工具専門点であれば売っているはずです。東急ハンズでも売っているそうです。結構いい値段です。
トルクスネジにも色々なサイズがあり、それに対応したドライバも各種あります。3.5インチのハードディスク (デスクトップPCに使われているハードディスク) に使われているトルクスネジには、T8サイズのトルクスドライバが適合します。2.5インチのハードディスク (ノートPCに使われているハードディスク) に使われているトルクスネジには、T6サイズのトルクスドライバが適合します。

実際の基盤を見ると3~5ヵ所程度をネジで本体に固定していることがわかります。このネジを外して基盤を取り外します。これ以外のネジは決して外さないでください。危険です。
基盤を取り外すと基盤と本体を電気的に接続するための接点が何ヵ所あるはずです。この接点部分をよく観察してください。たいていは金メッキがされて輝いているはずです。もしこの接点が汚れているようであれば、接点の汚れによる接触不良が原因となっている可能性があります。接点をアルコールなどできれいに拭いてやると正常に動作するかもしれません。

基盤を取り外したら、正常であることが確認されている基盤と交換します。その結果、正常にアクセスできるようになれば基盤交換は成功ですし、やはりアクセスできないということであれば、原因が基盤ではなかったことになります。(続く)

ハードディスクのハードウェア障害と言っても、すでに書いたように色々な箇所で起きます。
ここでは、ハードウェア障害の箇所を見分ける方法を書きます。なお。マザーボードやインタフェースケーブルなどはすべて正常であるということが前提です。

1) 電源部の故障
ハードディスクに電源を入れた状態でハードディスク本体に触ってみてください。正常であれば、温かい、あるいは熱い位になります。もし、一向に温かくならないようであれば、電源部の故障と考えられます。これは基本的に基盤部の故障ですので、基盤を正常なものと交換すれば修理できます。

2) モーターの故障
ハードディスクに電源を入れた状態でハードディスク本体に触ってみてください。正常であれば、かすかな振動が伝わってきます。これはモーターが回転する際の振動です。もし、全く振動が伝わってこないようであればモーターが回転していないと考えられます。最近のハードディスクは流体軸受けが使われているため、振動が少ないので、他の機器の振動と混同しないように注意してください。
ヘッドがクラッシュしてディスクと融着してしまった場合も回転しなくなります。
基盤上のコントローラの故障でモーターが回転しない場合もあり、これは基盤を交換することで修理できます。

3) ヘッド部分の故障
ヘッド周りに故障がある場合、ハードディスクにアクセスする際にカタカタという音が出続けます。これはヘッドを指定の位置まで移動しようとしているのですが、ヘッドがディスクのデータを読み込めないため、正確な位置決めができず、リトライを繰り返している音です。これにはいろいろな原因が考えられます。ヘッド自体の故障、ヘッドを載せるアームの故障、アームを駆動するモーターの故障、ヘッドで読み出したデータを増幅するヘッドアンプの故障、それに基盤上のコントローラの故障の場合もあります。コントローラの故障の場合のみ、基盤交換で修理できます。
あるいはハードディスクを取り出して軽く振ってみたときにカラカラと音がするならば、ヘッドのアーム部分が折れてしまったと考えられます。

4) 基盤の故障
上に書いたように、基盤の故障は色々な症状として現れます。基盤の故障か、あるいはモーター自体やヘッド自体であるかを判断する有効な方法はありません。実際に交換してみないとわかりません。

あけましておめでとうございます。

今年もこのブログでは皆様のお役にたつような記事を提供していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

 

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